【LLEWELLYN】高さ十六センチのホルムアルデヒドで満たされた瓶の中に、あまりにも特異な存在感を放つ創造物が横たわっている。ドイツのウォルデンブルグ博物館のなかで、既に二百六十八年の時を過ごすこの「チキンマン」。瓶の中の存在は、ドイツ最大のミステリーの一つとして様々な憶測を我々に投げかけている。それは単なるカエルだろうか。それとも、何らかの地球外生命体に遺伝子操作をうけ、失敗として遺棄された驚くべき証拠なのであろうか。
この瓶を巡って、こんな物語が語り継がれている。
1735年、ドイツ。当時二十八歳のジョアンナ・ソフィアは人生四人目の子供を妊娠した。それまでに彼女は三人元気な子供を出産していたが、四人目の子供は恐るべき異形の胎児であった。
事件の一部始終を目撃したゴトリエブ・フリードリヒ博士は、未来の同胞にこの存在の解明を委ねるため、ただちに胎児をホルムアルデヒド漬けにして保存し、検死解剖を経てから321ページに及ぶ母親の病歴などを含んだ書ける限りのレポートを残した。
レポートによれば、出産の時ソフィアが結婚していたのは猫背の男だった。彼女もまた背が低く、寸胴で、癇癪と鬱病的な傾向をもっていたという。しかし、これをもって、この原因を説明することはおそらく不可能である。
また別の記述によれば、その出産は奇妙なもので、写真の通り、胎児は非常に大きかったため、七時間を要したという。
フリードリヒ博士は将来にこの奇妙な出産を伝えるために、検死解剖の前に素早く図面を描ける者を自腹で雇い、全体の素描をさせた。そして検死解剖の最中、博士はたくさんの不思議な点を発見した。
一つはまず巨大な頭部である。腫瘍のように巨大に肥大した頭部の内部は全て脳みそで満たされており、脳水腫ではなかった。また心臓と肺にも異常が見られ、特に心臓には通常の心膜が見られず、“非常に薄い膜組織“で覆われていた。
さらに内臓器官だけでなく、骨組織もかなり特殊で人間のものとは大きく異なっていた。非常に短い腕(通常の人体は尺骨ととう骨からなる)と、同じく非常に短い足(通常は腓骨と脛骨からなる)は通常の人体とは異なる二本の骨からなり、膝には膝蓋が見られなかった、と博士は書き残している。しかし、この記述をもってしても、現在、この瓶の中の幼児が果たしてどんな症状によって生まれたものなのか、誰にも分からないのである。
チキンマンと言われるこの奇怪な胎児。その瞳をうっすらと開けたまま、瓶の中から我々を見つめたままである。
【参考】博物館の画像など | レポート、画像など(独語)
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