【Discovery】イタリアはトスカナにて、中世より「岩に突き刺さる聖剣」として知られる、伝説の聖剣の本格的発掘調査が開始されるとのこと。この「トスカナのエクスカリバー」とも呼ばれる聖剣は、伝承によれば1180年、ガルガーノ・グイドッティという騎士が、剣を捨てて神に帰依しようとした時に、岩に突き立てたものであると言われている。また剣が突き立てられた場所はその後修道院が建ち、現在では観光地として保護されているが、剣自体は当時のまま、岩から柄の部分だけを残してまるで十字架のような姿で突き立てられているのである。「この剣は長年に渡って、後世の誰かが捏造した偽物であると言われ続けてきました。しかし2001年に我々が行った調査によって事態は一変したんです。剣の材質は現代の合金ではなく、本当に12世紀のものだった事が明らかになったんです。」パピア大学の聖ガルガーノ・プロジェクト代表ルイジ・ガラシェリ博士は語った。またその後地面のレーダー調査によって、剣の下に長さ180cm、横90cm程の空洞がある事が明らかになったため、今年の夏までに博士の研究団は剣の周囲を掘削していよいよその下に眠ると言われる聖ガルガーノの墓の探索に乗り出すことになったのである。
「空洞はおそらく、800年前にこの地に眠った聖ガルガーノの墓だと思います。」ガラシェリ博士は語る。聖ガルガーノは1148年、シエナ近くのキウズディーノで誕生した伝えられているが、現在ではその足がかりを示す文献も非常に少ないため、その人生は多くの神秘と謎に包まれている。
伝説によれば、ガルガーノはある日、母の勧めで美しいフィアンセに会うように説得された為、馬に乗ってその女性の元へと向かった。しかしモンテ・シエペの丘(そこは現在も剣が眠る場所である)に差し掛かった時、彼は突然馬から投げ出された。そして突然現れた大天使ミカエルのヴィジョンが彼に剣を岩に突き刺すよう命じたのである。しかし尊大なガルガーノは剣が岩に刺さるはずもないとして反発し、剣が折れる事を承知で剣を岩に叩き付けた。しかしその時、剣はまるでバターに刺さるように、岩の中に飲み込まれたと伝えられているのである。そして神の力に畏怖した彼は剣を捨て、以後そのまま隠者となり、1181年に亡くなるまで、世を捨ててそこで暮らすこととなったと言われている。
また世界の神話において「岩に突き刺さる聖剣」といえば、かの有名な聖剣伝説がある。それはケルト神話に伝えられる「アーサー王の聖剣伝説」である。(アーサー王は15歳の時に、それまで誰も引き抜く事が出来なかった「岩に突き刺さる剣=エクスカリバー」をあっさりと引き抜いたと言う伝説がある。またその聖剣を引き抜く者がブリテンを支配するという神話があった。)
しかしガラシェリ博士は、今回のこの発見によって、もう一つの「岩に突き刺さる聖剣」 - 「アーサー王の聖剣伝説」解明へはまだ至らないだろうと話している。しかし博士は、もしもこのガルガーノの聖剣が本当に1180年のものであるとすれば、ケルト神話に伝えられるアーサー王、そして彼の聖剣伝説のエピソードは、ガルガーノの死後、ガルガーノの伝説を元にしてケルトの伝承に付け加えられたものではないかと推測しているのである。
「聖剣が眠る岩の下に、証拠となる何かが発見できるかもしれません。しかし、アーサー王伝説との繋がりを証明する事はほとんど不可能でしょう。それは今後も聖ガルガーノにまつわる謎であり続けると思います。またこのモンテ・シエペの丘に一体何が隠されているのか、それは今後更に専門的な研究が必要になると思います。ただ今は、この聖剣の下に一体何が眠っているのか、それが楽しみで仕方ありません。」ガラシェリ博士は語った。
【参考】San Galgano への道 | The Abbey of San Galgano[it] | エクスキャリバー (Excalibur)
アーサー王伝説とケルト伝説 | THE CAMELOT PROJECT[en]