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死者からの顔面移植、大火傷の患者に実施か

face_plant1.jpg【Sun】1999年、交通事故でジャッキー・サブリド(22)は全てを失った。彼女は一命こそ取り留めたが、車内から救出されるまでの45秒間、彼女は炎に焼かれ、顔や身体に恐ろしい火傷を負ったのである。彼女はその後凡そ50カ所に及ぶ整形手術を受けたが、もはや元通りに戻る手だては残されていないと医師に告げられた。そしてそれ以来、彼女は二度と自分の姿を鏡を見ることはなくなった。しかし、そんな彼女の元に最近になってある話が飛び込んできた。それは今後一年以内に米国の医師らが彼女に新しい顔を与えることができるかもしれない、という信じられない話だったのである。興奮した彼女は言った。「もう一度外に出て、人と向き合うことができるかもしれない」。

現在、米国はテキサス州オースティン在住の彼女は、かつての美しかった自分の写真を見るたび、涙を流す。(写真上は事故前、写真中は事故後のサブリド)

face_plant2.jpg「あの頃の自分の姿に戻れるなら、何だってするわ、、。今は毎日ただコンピュータの前に座ってチャットばかりしているの、、。ネットの向こう側の話し相手は私がどんな顔か知らないのよ、、。私だって学校に行きたい。自分の力で生きて行きたい。だけど、この顔のせいでどうにもならないのよ、、。」

そしてそんな彼女に「顔面移植」という新たな可能性を話したのは、ケンタッキー州ルイスヴィル大学のジョー・バニス医師、セルジュ・マルチネス医師、ジョン・バーカー医師らの研究チームである。

この、まるでSF映画フェイス・オフ(二人の登場人物がそれぞれ手術で顔を入れ替える)のような手術を彼らは既に「ダミー」で成功させているという。この試行実験とは科学研究目的で寄付された人間の遺体から別の遺体へと顔を移植する実験である。

「実験で我々はこの手術が実際に可能であること、そしてそれは驚くべきことであることを学びました。我々は前準備として出来うることは全て試しました。よって後は、これを生きた人間に実行するかどうか、もうそこまで来ているんです」。バーカー医師は語った。

またマルチネス医師によれば、彼らは現在、この手術に適した患者を探しているという。
「もしこの手術が本当に行なわれれば、おそらく、それは初めて心臓移植が行なわれた時をしのぐ衝撃を世界に与えるでしょう」。

この顔面移植手術は凡そ20時間から25時間を要する。手術では患者の鼻、唇、瞼を切除しながら、同時に周囲の皮膚、顔面の筋肉、神経、血管、皮下脂肪を取り除いていく形で行なわれる。またサブリドのように顔面の肉がほぼ焼けただれている場合も同様に切除される。

そしてその後、顕微手術にて全ての血管(内いくつかは直径1ミリ程度)を再結合しながら「新しい顔」を移植するのである。また術後、患者はその残りの一生の間、身体が新しい顔に拒絶反応を示さぬよう、強力な免疫抑制剤を飲み続けなければならない。しかしまた、こうした薬はガンなどの非常に強い副作用が予想されるなど、術後も大きな危険が伴うのである。その為、研究チームは現在、そうした危険を犯してなお手術が必要とされるような、顔をひどく損傷した患者にのみ施術する予定であるという。

またバーカー医師によれば、これまでの死体実験の結果、術後の患者の顔は、彼らの親族にすら見分けがつかない程別人の顔になってしまうということも付け加えている。そのため、この手術には技術的、倫理的な問題だけでなく、患者に対する心理的な作用も問題となるのである。また彼らチームの研究に対し、他の医師からはまるで「フランケンシュタインのようである」とし、患者の顔は必ずや奇妙なものになるはずである、とそうした移植手術に対して懸念を抱いている。

face_plant3.jpgしかしまた、こうした顔面の縫合手術そのものに関しては、既に前例が存在している。1994年、インドにて当時9歳の少女だったサンディープ・カウルが脱穀機に三つ編みにしたお下げが巻き込まれ、そのまま顔面の皮膚と頭皮をほぼまるごとはぎ取られるいう事件が発生した。彼女の母親はまるでマスクのようにはぎ取られた彼女の顔をビニール袋に入れて、カウルと共に病院に運び、顕微外科医のアブラハム・トーマス氏が縫合したのである。トーマス氏によれば、血管を再結合するなり、"顔はまるで"息を吹き返したように生き生きとしたピンク色に戻った"と話している。
(写真右は現在のカウルの姿、事故前後の様子はこちら・グロテスクな画像を含むので注意)

そして現在、サブリドはこの顔面移植手術に新しい人生の希望を見いだしているが、まだ未知の移植手術に対する恐怖をぬぐい去ることは出来ないようである。

「(顔面移植の)史上初の患者にはなりたくない。二番目がいいわ。」彼女は語った。


【参考】サブリドさんの記者会見 | 医師・医療スタッフの脳死・移植に対する態度より

Royal Free Hospitalのピーター・バトラー形成外科医らのグループが、「ガンや事故あるいはヤケドによって、顔が大きく損傷した患者の治療として、死体ドナーからのfull-face transplants=顔面移植が技術的に可能になり、社会的および政府の承認が得られれば18ヵ月後に手術ができる。倫理上の考慮されるべきことが非常に大きく、十分な公開討論がなされなければならない」と、11月27日に英国で開かれる形成外科学会に発表することを報じた。 顔面移植手術は、顕微手術装置と拒絶反応を抑制する薬剤の進歩で、可能になったという。皮膚、骨、唇、耳、鼻、あごの移植手術には10時間以上かかり、移植後に動きや感覚をコントロールする神経、血管、筋肉を付ける。神経再生がうまくいかないと、移植された顔面は役に立たない。バトラー医師らが、医師や看護婦を含む120人に「死亡時に顔を提供するか」と調査したところ、ドナーになってもいいと答えた人は1人もいなかった、とのこと。

【関連】死者からの顔面移植、その可能性

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