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ボディ・サスペンション - 身体を吊り上げる快楽

body_suspension1.jpg【azcentral】巨大な釣針に肩を貫かれ、身体を吊し上げられながらトニー・トロイアノは苦悶の表情を浮かべている。彼の身体を支える巨大な鉄の支柱がゆっくりと回転を始めると、彼は足をもがかせながら、かすかな声を漏らした。「ああ、最高だ・・・。」先日、ボディ・サスペンション(身体の吊り上げ)クラブに入会したまだ十代のトニーは、こうして彼の"初体験"を終えた。着地して間もなく、彼は恍惚の表情を浮かべながら自身の体験を次のように語った。「天に昇るような気持ちでした。幸福に包まれて、とてもスピリチュアルな体験でした。身体がまだ平気ならば、今日のうちにもう一度吊り上げられたいですね。」

今回行われたこのボディ・サスペンション大会には、トニーのような新参者から、身体を吊り上げられる"ベテラン"まで、百人程度の愛好家が参加し、倉庫を貸し切って三日間に渡って行われた。閲覧者は$15、また吊り上げ希望者は$100支払うことで、実際にボディ・サスペンションを体験することが出来たという。

ボディ・サスペンションに用いられるのは長さ7.6cmほどの大きなフックである。吊り上げられる人はワイアーに繋がれたフック数本をを直接皮膚の下に潜らせるように突き刺して、吊り上げが行われる。

body_suspension3.jpgまた吊り上げるフォームはフックを突き刺す場所によって、幾つかのパターンがある。まず最も基本となるフォームは、"スーサイド(自殺)"サスペンションである。このフォームは吊り上げられた姿が首つり死体に似ていることからそう呼ばれ、この場合、フックは背中に取り付けられる。また他には、チェスト・サスペンション(胸部にフックを付ける)、ニー・サスペンション(膝にフックを付ける)のほか、スーパーマン・サスペンションでは背中と太ももにフックが取り付けられ、うつぶせのまま地面に対して水平に身体が持ち上げられる。

また吊り上げられる時間は人によってまちまちで、短い場合では数分、長い場合では数時間に及び、その反応は人によって様々である。アクロバティックな吊り上げを楽しむマニアもいれば、まるで子供のように無邪気に楽しむもの、あるいは吊り上げられながら笑い出すものもいれば、泣き出すものもいるという。

body_suspension2.jpg今回の大会には多くの人々が参加し、会場ではあらゆる場所で様々な"吊し上げ"が行われた。例えばカナダの学生、ジェス・ロビンスさんは胸の周辺にフックを突き刺し、しばらくの間その身体を吊し上げた。流れ出た血は胸をつたって腹へと滴り、彼女の足は小刻みに震えていた。そしてすぐその側では、男が二人、それぞれの肘にフックを突き刺し、それをワイアで結んで綱引きを行っているといった様子である。

「一部の人々は、この吊り上げを通じて、スピリチュアルな体験をするそうです。こうしたボディ・サスペンションをただ楽しむ人もいれば、吊り上げられてから嫌になって、すぐに降りる人もいます。私自身は、初めて吊し上げられて、地上から浮き上がったときは、それまでの人生で決して感じたことのなかった凄まじい痛みを感じました。しかしそれから間もなくすると、今度は身体に力がみなぎってきたんです。そして地上に降りたときは、最初とは逆に、今度はこれまで感じたことのない、大きな幸福感を感じていたんです。」ボディ・サスペンション愛好家の一人、マイク・ジョッシ氏は語る。

今から数年前、自傷行為などを題材とした「Bodily Harm」の著者、カレン・コンテリオさんは、これらボディ・サスペンションについて次のように語っている。「サスペンションの実践者たちは、サスペンションによって引き出される"力"を求めているんだと思います。サスペンションもまた、自傷行為のような、通過儀礼的行為だと私は考えています。これは、何かを勝ち取る行為に似ています。皮膚を徹底的に痛めつけることによって、そうした人々は社会や共同体からあたかも自分自身を引き離し、自分の存在を確認しようとしているのだと思います。普通の健康な人々ならば、こうした行為はまず行わないものです。」

またこれらボディ・サスペンションの多くの実践者らは、こうした行為を一種の治癒行為のようなものであると考えているという。

「ほら、彼の顔を見てください。澄み切った綺麗な顔をしているでしょう。最近、私たちの生活はちょっと辛いことがあったんです。だから彼は、こういう何かを必要としていたんです。」大会に参加したある女性は、ボーイフレンドが"スーパーマン・スタイル"で吊られるのを眺めながら、そう語っている。

このように、一見奇妙にも見えるこれらボディ・サスペンションという行為は、今では多数の参加者を集め、大きな広まりを見せつつあるという。また大会主催者らによれば、こうした大会においては、最も注意すべきなのは衛生面での問題であり、特に大量に血が流れることから、針の二次使用などによる感染が起こらないよう、衛生面には常に注意を払わなければならないとしている。また人によっては吊り上げられて気絶したり、痙攣発作を起こすものもいるという。

「私自身、はじめの何度かは全く楽しむことが出来ませんでした。一度目は失神して、二度目は全身が痙攣しました。それで三度目になってようやく快感を感じるようになったんです。今ではもう失神することはありませんね。」参加者の一人、カナダ人のウォレン・ヒラー氏はそう語っている。

そして大会主催者の一人にしてサスペンション歴13年のアレン・ファルクナー氏は次のように語っている。

「これはマゾヒズムではありません。ボディ・サスペンションは、痛みを求める行為ではなく、痛みを超える行為なんです。ボディ・サスペンションは古代から、様々な社会において行われてきた行為です。」

【参考1】BME : BodySuspension | Imperial Body Art | Prick Magazine(いずれもボディ・サスペンションギャラリー )

【参考2】BME GLOSSARY【用語解説】 - サスペンション

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